CASE 04|大型施設・省エネ設備投資
使う前から、電力使用量は分からない。
それでも4,000万円超の投資を決めた。
2017年。東京オリンピック関連施設として10億円を超える大規模改修が進む中、関係者から相談を受けました。
「オリンピック関連施設として、できることはあるか?」
そこで検討したのが、改修計画にはなかった節電・電力最適化プロジェクトです。
しかし、この施設は改修後にJOC本部施設として使用されるため、実際の電力使用量も、ピーク電力も、まだ分かりません。
太陽光発電、大型蓄電池、デマンド監視・制御。
複数の選択肢を比較した結果、選んだのは4,000万円を超えるデマンド監視設備への投資でした。
完成時点の数字だけで正解を決めるのではなく、運用しながら計測し、最適解に近づけていくための設備投資です。
01|始まりは「できることはあるか?」
施設では、東京オリンピックに向けて10億円を超える大規模な改修工事が計画されていました。
その中で関係者から相談されたのが、
「オリンピック関連施設として、できることはあるか?」
という問いでした。
目的は単純な電気料金削減だけではありません。
東京オリンピック関連施設として、環境・省エネルギーへの取り組みを対外的に示すことも重要なテーマでした。
そこで、当初の改修計画にはなかった節電プロジェクトの検討を開始しました。
02|問題は「まだデータがない」こと
通常、省エネ設備を検討するなら、過去の電力使用量や最大需要電力を分析できます。
しかし今回は違いました。
倉庫をJOC本部施設へ大規模改修するため、改修後にどれだけ電気を使用するのか、まだ誰にも分かりません。
空調。
照明。
時間帯ごとの利用状況。
ピーク電力。
設備投資を判断するために欲しい数字の多くが、実測値ではなく想定値からのスタートでした。
つまり、
「正確な使用量が分かってから設備を選ぶ」
ことができない案件でした。
03|3つの選択肢を比較した
検討した主な選択肢は3つです。
A|太陽光発電
設置可能な面積を検討しましたが、施設として安心できるだけの発電量を確保するには面積が不足していました。
B|大型蓄電池
必要な電力量を確保しようとすると投資額が大きくなることに加え、大型設備を設置するスペースの確保も課題になりました。
C|デマンド監視・ピークカット制御
電力使用量を継続的に計測し、空調・照明などを時間帯や使用状況に応じて制御する。
完成時点で最適値を決めるのではなく、実際の施設運用からデータを蓄積し、電力の使い方そのものを最適化していく方法です。
04|「発電する」より「使い方を知る」
太陽光発電も、蓄電池も、有効な設備です。
しかし、今回の施設では前提条件が合いませんでした。
一方、デマンド監視なら、
いつ、どれだけ電力を使っているのか。
そして、
どの電力が必須で、どの電力ならセーブできるのか。
実際の運用から判断できます。
電力使用量が未知だからこそ、最初から答えを固定するのではなく、
「計測しながら最適化できる仕組み」
そのものに投資することを選びました。
05|4,000万円超を「計測と制御」に投資
採用したのは、パナソニックのデマンド監視設備一式。
関連工事を含め、4,000万円を超える設備投資となりました。
デマンドを監視しながら、主に空調・照明を制御。
時間帯や施設の利用状況に応じて、
必ず必要な電力
と
セーブできる電力
を分けます。
設定値を超えないよう単純に設備を止めるのではありません。
施設として必要な機能を維持しながら、どこまで電力を抑えられるかを探っていく設計です。
06|複数の専門家で判断する
このプロジェクトでは、株式会社I life-designが全体を主導しました。
業者選定と各案の比較を行い、プロジェクト全体の方向性を整理。
調査・提案・施工調整には、戸田建設の特別チーム。
デマンド分析と設備には、パナソニック。
施工は大手電気工事会社を元請として実施しました。
また、オーナーと関係の深い大手ゼネコンからも提案が行われる中で、複数の案を比較しました。
一社の設備や一つの方法を前提にするのではなく、目的に対して必要な専門性を組み合わせる。
現在のLIFE-DESIGN Primeにつながる考え方です。
07|完成してからが、本当のスタート
設備を設置して、このプロジェクトは終了ではありません。
むしろ、そこからが始まりでした。
実際に施設を使用しながらデマンドを計測。
空調や照明の使用状況を確認し、
「どの時間帯に、何を、どこまで制御できるのか」
を検証しました。
約1年をかけて運用データを蓄積し、電力使用と電気料金の最適化を模索しました。
最初から正解を設定するのではなく、
計測 → 分析 → 制御 → 検証
を繰り返す計画です。
08|成果は「削減率」だけではない
具体的な電気料金や削減率は公開していません。
しかし、オーナー側から評価されたものがあります。
それは、
「電力使用を把握しながら、最適な運用を続けられる」という安心感。
使用量が分からない状態から始まった施設だからこそ、単年度の削減額だけではなく、
状況を把握し、変化に応じて判断できる状態をつくること
にも価値がありました。
DECISION
太陽光発電 → 見送り
設置可能面積に対して、十分な発電量を確保できない。
大型蓄電池 → 見送り
必要容量を確保すると投資額が大きく、設置スペースにも課題。
デマンド監視・ピークカット制御 → 採用
投資額
4,000万円超
判断理由
電力使用量が未知の施設だからこそ、完成時点の想定値だけで設備を固定せず、実際の運用データを計測しながら最適化できる仕組みを選択。
PRIME'S VIEW
「分からない」は、判断できない理由ではない。
高額な設備投資では、すべての数字が揃ってから判断できるとは限りません。
今回のプロジェクトでは、施設そのものがこれから使われるため、将来の電力使用量を正確に知ることはできませんでした。
だからといって、根拠のない予測だけで4,000万円を投資するわけにもいきません
そこで、
未来を正確に予測することではなく、未来を計測して判断できる仕組みをつくる。
という選択をしました。
不確実性をなくしてから決めるのではなく、不確実性が残っていても判断できる構造をつくる。
これは、現在のLIFE-DESIGN Primeが重要な意思決定で大切にしている考え方の一つです。
高額な設備投資を判断するときに見るべきこと
設備投資では、設備価格や単純な投資回収期間だけでなく、
目的・代替案・制約条件・運用方法・将来の変化
まで含めて比較する必要があります。
設備を導入すること自体が目的ではありません。
LIFE-DESIGN Primeでは、導入する・導入しないを含めて選択肢を整理し、**「何に投資することが目的に対して合理的なのか」**を構造化します。
LIFE-DESIGN Prime
高額な判断に、参謀を。
