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CASE 02|電子部品製造・設備投資

1,200万円の空調更新。

本当にエアコンを替えるだけでいいのか。

「できるだけ安く、工場のエアコンを入れ替えたい。」

約50人が働く、埼玉県内の電子部品製造工場。

相談の入口は、約10年使用した空調設備の更新でした。

しかし現場を確認すると、考えるべき問題は「どのエアコンを買うか」だけではありませんでした。

01

「暑くて仕事にならない」

夏になると、工場で働く従業員から

「暑くて仕事にならない」

という声が上がっていました。

経営陣からは、夏場に離職者が増える傾向も聞いていました。

既存の空調設備は約10年が経過。

故障しているわけではありません。

しかし、工場全体を冷やすには能力が不足していました。

現場の暑熱環境を確認すると、熱中症リスクも無視できない状態でした。

これは単なる「古いエアコン」の問題ではない。

従業員が働く環境そのものの問題ではないか。

そこから検討を始めました。

02

約4mの天井を、そのまま冷やす必要があるのか

現場で注目したのが、工場の構造です。

天井高は約4m。

広い工場全体に、空調を効かせる必要があります。

ここで単純に、

「もっと能力の高いエアコンに交換する」

という方法を採れば、設備能力を大きくすることで対応できます。

しかし、それでは大きな空間を冷やし続ける構造そのものは変わりません。

そこで考えたのが、

「冷やす空間を変えられないか」

という選択肢でした。

03

選択肢を並べる

 

検討したのは、大きく4つの方向です。

A|現状を維持する

投資は抑えられます。

しかし、暑さ・空調能力不足・従業員の労働環境という問題は残ります。

B|スポットクーラーを増設する

比較的導入しやすい方法です。

一方で、台数によっては費用が大きくなり、強い風や機器の配置によって工場内の動線を妨げる可能性もありました。

C|空調設備だけを更新する

根本的な空調能力は改善できます。

しかし約4mの天井高を含む、大きな空間を冷やす構造は変わりません。

D|仮天井を設けたうえで、空調設備を更新する

初期投資は増えます。

その代わり、冷房する空間そのものを小さくできます。

私たちは電気代も含めたシミュレーションを行い、設備価格だけではなく、導入後の効率まで比較しました。

04

約300万円を「天井」に使う

最終案では、工場内に吊り下げ式の不燃素材による仮天井を設置。

約4mあった天井から、およそ1.5m下げました。

カーテン等を含む仮天井工事は約300万円。

一見すると、

「エアコンを替えるのに、なぜ天井に300万円を使うのか」

という判断です。

しかし、目的はエアコンを買うことではありません。

約50人が働く製造環境を改善すること。

冷やす必要のない上部空間まで冷房するのではなく、人が働く空間を中心に空調する。

設備だけではなく、建物側から空調効率を考えました。

05

さらに、製造環境としての価値を持たせる

仮天井には、もう一つ役割を持たせました。

この工場は電子部品製造工場です。

そこで仮天井とカーテンによって空間を区画し、防塵を意識したクリーンエリアとしての機能も持たせる計画としました。

仮天井自体は、製造工場では特別珍しい方法ではありません。

しかし「エアコンを入れ替えたい」という相談だけを起点にすると、空調機器の比較だけで検討が終わる可能性があります。

空調。

建物。

製造環境。

従業員環境。

そして将来の改修。

一つの設備だけを見るのではなく、投資全体を見る。

それが今回の判断のポイントでした。

06

予算1,000万円から、1,200万円へ

当初想定されていた予算は、約1,000万円でした。

最終的な投資額は、

約1,200万円。

予算を約200万円上回ります。

それでも、経営者の判断は早いものでした。

従業員が働く環境を改善すること。

空調効率を考えること。

電子部品製造に適した空間をつくること。

そして、将来的な工場改修にも対応しやすくすること。

単純な「空調設備の価格」ではなく、

1,200万円で何を改善できるのか。

そこまで整理したうえでの意思決定でした。

07

約1か月半で実行

方針決定後は、実行まで支援しました。

私たちが担当したのは、

現場確認、課題整理、施工業者の選定、見積比較、設備仕様の検討、価格交渉。

施工は、当社のネットワークから適切な事業者を選定しました。

相談を受けてから施工まで、約1か月半。

判断だけで終わらせず、実行までつなげました。

08

「暑くて仕事にならない」を変える

施工後、工場で働く従業員からの評判は上々でした。

今回、電気料金や離職率について導入前後の定量的な比較までは行っていません。

そのため、数字としての効果を大きく語ることはできません。

しかし、この投資で会社が優先したものは明確でした。

設備ではなく、そこで働く人です。

エアコンの更新から始まった相談は、最終的に、

「これからの製造環境をどうつくるか」

という経営判断になりました。

DECISION

「一番安い設備」ではなく、

「投資全体として合理的な方法」を選ぶ。

当初の要望は、

「できるだけ安く」

でした。

その方向性を捨てたわけではありません。

むしろ、初期費用だけを安くすることと、投資全体を合理的にすることは違うと考えました。

約4mの空間をそのまま冷やすのか。

スポットクーラーを並べるのか。

空調設備だけを更新するのか。

それとも、工場そのものの使い方から変えるのか。

結果として選択したのは、

仮天井+空調設備更新。

総投資額は約1,200万円でした。

PRIME'S VIEW

高額な設備ほど、

「何を買うか」の前に考える。

設備投資では、どうしてもメーカー、性能、見積金額の比較から始まりがちです。

しかし本来、その前に考えるべきことがあります。

何のための投資なのか。

今回なら、

「古いエアコンを新しくする」

ことが目的ではありません。

従業員が働きやすい環境をつくる。

製造環境を改善する。

空調効率を考える。

将来の改修にも備える。

その目的を整理すると、比較すべき選択肢そのものが変わります。

LIFE-DESIGN Primeは、特定の商品や設備を売ることから判断を始めません。

現場を見て、事実を整理し、選択肢をつくり、リスクと費用を比較する。

必要であれば、その判断を実行できる専門事業者を組み合わせる。

高額な判断に、参謀を。

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