CASE 03|介護施設・設備投資
1,000万円を超える設備投資。
私たちの結論は「見送る」でした。
光熱費の高騰と、長期停電への備え。
50名以上が利用する介護施設から相談されたのは、
太陽光発電と蓄電池の導入についてでした。
検討した結果、私たちが出した結論は、
「今は導入しない」
でした。
01
光熱費を抑え、停電にも備えたい
施設が抱えていた課題は、大きく二つありました。
一つは、光熱費の高騰。
もう一つは、長期停電への備えです。
介護施設では、停電は単なる不便では済みません。
50名以上の利用者が生活する施設として、非常時にも一定の機能を維持する必要があります。
そこで検討されたのが、
屋根への太陽光パネル設置と、蓄電池の導入。
自家発電によって日常の電力購入量を抑えながら、非常時には蓄電した電力を使用する。
一見すると、二つの課題を同時に解決できる合理的な投資に見えました。
02
「導入できるか」から調べる
まず必要なのは、
「太陽光発電は得なのか」
を考えることではありませんでした。
その前に、
この建物に、安全かつ合理的に設置できるのか。
そこから確認する必要があります。
専門業者による現地調査と見積を実施。
屋根の形状、設置可能なパネル数、想定発電量、施工方法などを確認しました。
そこで、当初の想定とは違う問題が見えてきました。
03
屋根に載せられる。しかし、それでいいのか
施設は陸屋根(フラットルーフ)でした。
技術的に太陽光パネルを設置する方法はあります。
しかし、専門業者による現地調査では、施工によって既存の屋根防水への影響を考慮する必要があることが分かりました。
さらに、設置条件から、
当初想定していたほどの発電量を確保できない
という見通しになりました。
「設置できる」と、
「設置する価値がある」は違います。
ここで私たちは、設備を導入することを前提に考えるのをやめました。
04
選択肢を戻して考える
改めて、選択肢を並べました。
A|現状を維持する
新たな設備投資は行わず、既存設備を維持する。
B|デマンドコントロールを検討する
電力使用のピークを管理し、設備投資以外の方法から電気料金への対策を考える。
C|蓄電池のみを導入する
太陽光発電とは切り離し、非常時の電源確保を中心に検討する。
D|太陽光発電+蓄電池を導入する
日常の光熱費対策と非常時の電源確保を、一つの設備計画として考える。
重要なのは、
「新しい設備を入れるか、入れないか」だけで比較しないこと。
何を解決したいのかによって、選択肢そのものが変わります。
05
投資額ではなく、得られる効果を見る
太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、設備投資は1,000万円を超える規模になります。
もちろん、金額が大きいから見送ったわけではありません。
重要なのは、
その投資によって、何がどれだけ改善されるのか。
現地調査の結果、想定していた発電量を確保することが難しい。
屋根防水への影響も考慮する必要がある。
そして、投資額に対して期待できる光熱費へのインパクトも、当初期待したほど大きくありませんでした。
であれば、
「太陽光だから環境にいい」
「蓄電池があれば安心」
という理由だけで、大きな投資を決めるべきではない。
そう判断しました。
06
では、停電対策はどうするのか
ここでもう一つ重要な問題があります。
太陽光と蓄電池を導入しないとしても、
長期停電への備えは必要です。
この施設には、すでに燃料式の非常用発電機がありました。
新しい設備へ置き換えることだけが、リスク対策ではありません。
既存設備が目的を果たせるのであれば、
今あるものを維持する
という選択肢もあります。
最終的に、既存の燃料発電機を維持する方針としました。
07
「見送る」という意思決定
太陽光パネルを設置することは可能でした。
蓄電池を導入することも可能です。
しかし、
できることと、やるべきことは違います。
設備投資によるメリット。
投資額。
想定発電量。
建物への影響。
非常時の電源確保。
そして、すでに保有している設備。
それらを並べて考えた結果、
太陽光発電・蓄電池ともに、今回は導入しない。
これが最終的な判断になりました。
08
「何もしない」と「見送る」は違う
設備を導入しなかったので、目に見える新しい設備は残っていません。
しかし、
「なんとなく高いからやめた」
わけでもありません。
専門業者による現地調査を行い、
施工条件を確認し、
発電量を検討し、
複数の選択肢を比較した。
そのうえで、
今は投資しない方が合理的だと判断した。
これも、一つの設備投資判断です。
DECISION
投資しない。
それも、設備投資の答えです。
新しい設備には、分かりやすい魅力があります。
省エネ。
BCP対策。
新しい技術。
将来への備え。
しかし、それだけで高額な設備投資を決めることはできません。
今回のケースでは、
1,000万円を超える設備投資を見送り、既存の燃料発電機を維持する。
という判断をしました。
投資しないことは、
何もしないことではありません。
調べ、比較し、あえて現状を選ぶ。
それも経営判断です。
PRIME'S VIEW
私たちは、
設備を導入するために判断しません。
設備投資の相談を受けたからといって、
必ず設備を導入する必要はありません。
「導入できるか」
ではなく、
「導入する意味があるか」
を考える。
必要なら専門家に現場を見てもらい、
数字を確認し、
建物への影響を調べ、
別の選択肢も並べる。
そして投資する合理性が小さければ、
「今回はやらない」
という結論も出す。
LIFE-DESIGN Primeが支援するのは、
設備の購入ではありません。
その投資を、本当にするべきかという意思決定です。
